認定太宰府市民遺産

第14号「梅香苑夏まつり子どもみこし」


育成団体:梅香苑区自治会

梅香苑は昭和50年代前半頃に新しくできた住宅地です。
子どもみこしは、梅香苑で生まれ育った子ども達に故郷の思い出を残してやりたいという思いから、40年ほど前に始まった行事です。毎年8月第一土曜日に、地域の人たちの手作りのみこしを中心に鐘や太鼓、大うちわなどをもっと子どもたちが沿道の家々からの力水を浴びながら元気よく区内を練り歩きます。

行事のはじまり
梅香苑区は昭和50(1975)年代前半頃に開発された新興住宅地で、初めは住民同士のつながりがほとんどない状態でした。公民館が新しくつくられたことをきっかけに、地域が一体となり、様々な行事が計画されるようになりました。そして昭和57(1982)年頃、子どもたちに故郷の思い出を残してやりたいという思いから「子どもみこし」が始まりました。
当初の子どもみこしは樽をのせた質素なみこしで、太鼓や法被(はっぴ)も太宰府天満宮から借りていました。その後は、子どもたちのためにと、地域の人たちで、みこしを手作りし、紅白の曳(ひ)き綱(つな)を編み、太鼓や法被などもそろえていきました。平成29(2017)年には、自慢のみこしも傷んできたため、地域の人たちの協力により、台車を新設し、みこしも修復しました。

行事の流れ
子どもみこしは、毎年8月第一土曜日に夏まつりの午前中の行事として実施され、午前10時にみこしを台車に載せ、梅香苑公民館をスタートします。鐘(かね)、太鼓、みこしとならび、大うちわ、旗を持ち、「わっしょい」と大きな声をかけ、沿道から力水を浴びながら、団地内の上り下りの坂道を元気よく回っていきます。途中の公園でひと休みしながら、約1時間をかけて区内を練り歩き、公民館に戻ってきます。コースについては、その年に参加する子どもの居住地をできるだけ回れるようにと毎年検討し決定されています。到着した後は、子どもたちにカキ氷やジュースが振る舞われます。暑さを乗り越え、満面の笑顔でカキ氷を食べる子どもたちの無邪気な姿に、地域の大人たちは元気をもらっています。
平成30(2018)年は梅香苑区ができて40周年ということで、夏祭り会場の梅香苑第一公園をスタート・ゴールとするコース設定を行いました。8月4日の夏祭り当日は快晴で、連日35℃前後の猛暑が続いたこともあり、子どもたちの体調を考慮し、距離を短くして実施されましたが、子どもたちは、力水を浴びながら、元気いっぱい練り歩きました。

子どもみこしの様子
子どもみこしは、かつて世話役と子どもたちだけで行われていましたが、現在は保護者の参加も多くなり、子どもたちと一緒に掛け声をかけ力水を浴び、一生懸命子どもを励ましている姿がみられるようになりました。
子どもと保護者そして地域が一体となって行われる子どもみこしは、梅香苑区の伝統行事となってきました。
このように地域の人たちの思いの中、梅香苑区で育った子どもたちは、現在は大人となり、全国で頑張っていることでしょう。そして、毎年夏が来ると、幼い頃みこしを曳いて町内を回ったという、ふるさとの良き思い出を必ずや思い出してくれていると願っています。