第18号「王城神社の『宮座お籠り』神事および『真魚箸料理』」

王城神社は、太宰府市通古賀区の旧日田街道沿いにある、事代主命(ことしろぬしのみこと)を祭神とする神社です。その起源は神武天皇が四王寺山に事代主命を祭って東夷平定を祈願したことに始まり、その後天智天皇4(665)年に現在の地に遷座し、王城山(大城山、大野城、四王寺山)の御神を「王城大明神」として祀ったと伝わります。
王城神社では、季節や農事暦に合わせ、五穀豊穣や地域の繁栄を祈念する神事として春・夏の「お籠り」と秋の「宮座お籠り」の年3回お籠り神事が行われます。
「春籠り」は桜の季節に行われ、還暦や厄入りの男性がお神酒を奉献して祈願し、宴席を設けます。「夏籠り」は田植えの終了に感謝し、稲の豊作を願う行事。「宮座お籠り」は土地の平和と収穫への感謝を込めた祭りとして行われます。かつては宮座とは別に行われていましたが、現在は宮座と合わせて「宮座お籠り」神事として11月上旬に実施されています。
「宮座お籠り」の神事には、「真魚箸料理」という特別な儀式が含まれます。神前に供える懸鯛を手を直接触れずに調理して献上するものです。二人の料理人が向かい合い、左手に真魚箸(魚を料理する時に使用する長い箸)、右手に包丁を持ち、手を直接触れずに真魚箸で鯛を抑えながら、尾鰭から鰓まで包丁を入れます。
「真魚箸料理」の由来は不明ですが、同様の儀式は「包丁式」と呼ばれ、鯛や鯉などを料理人が手を触れずに調理して神前に供える作法として全国的に知られています。この儀式は平安時代には宮中行事や神事として行われ、鎌倉時代から室町時代には武家にも広まったとされます。
王城神社の「真魚箸料理」は福岡県内でも珍しい民俗行事として地元に受け継がれています。


