「太宰府をうたう♪全11曲」
作詞家たちがつくった太宰府にまつわる詞に、岩﨑記代子さんが作曲してできあがった11曲の歌を紹介します。
観世音寺をたずねて
作詞:村上寿浩 作曲と唄:岩崎記代子
まほろばの道に
観世音寺をたずねました
春の陽はいとしげに
古刹のいらか 花の風
しだれ桜は うつくしく
御ほとけの影 よりそって
私はたち止まって
しばらく 夢でも
みたのでしょうか
聞こえてきたのは 鐘の音
ゆめみたものは はるかなるもの
筑紫の国は
観世音寺をたずねました
秋の陽はひっそりと
四王寺山は うららかに
落ち葉しく 境内に
御ほとけがいて 私がいて
私はたち止まって
遠い日のことなど
想っていました
聞こえてきたのは 鐘の音
ゆめみたものは 天平のころ
寂光に佇ちて
作詞:平山芳江 作曲と唄:岩﨑記代子
筑紫野の緑豊かに
今も尚 まほろばの里
観世音寺の鐘の音は
その音 遠の朝廷と
栄えたる歴史を刻む
青き踏み万葉人の跡を辿りて
寺苑の西 戒壇院を訪う
星霜を経て 朽ちし草堂に
疾風まで襲いて
いよ よ崩えすすむ 三戒壇の一つ
厳しき戒律に耐え
受戒成る学僧の涙は
荒れしこの戒壇に染み
木々を渡る風は声明と
掌を合わす南無観世音
願わくば 復興の槌の音
春草萌ゆる 寂光土に
高く 高く あれ
菅公様
作詞:岡崎ふくみ 作曲と唄:岩﨑記代子
天空を見上げれば 九重の杉木立
苔むす石段を 上がれば
古への都人 菅公様の仮寝の神座
無念の涙よ霧となれ
心行かしと 願って集う
笛に太鼓に 舞う踊り
民の竈の 優しさに守られて
しばし安堵の 観月の宴
賜る他名 ここは菅原の里
雪と雷さま
作詞:平山芳江 作曲と唄:岩﨑記代子
雷さまに 起こされて
冬の約束 思い出す
残らず雪を 降らすこと
ツバメが来ぬうち 今のうち
仲間を呼んで いっぺんに
綿雪 小雪 ぼたん雪
雷さまに 起こされて
ふくらみかけた 花の芽が
出ようと待ってた 虫達が
びっくり仰天 逆もどり
今日は一日 春の雪
とけてはつもる 忘れ雪
夢しのぶ
作詞:眞はじめ 作曲と唄:岩﨑記代子
天満宮の 仲見世通り
松屋 松ヶ枝 月淡く
国を憂いて 身をしのぶ
僧月照と 志士たちが
残せし筆蹟に 夢しのぶ
言の葉の 花をあるじに旅ねする
この松かげを 千代もわすれじ
千歳語る 樟木立
倶に天衝く 大鳥居
とかく浮世の 恋うわさ
九州男児 かくありと
耐え立つ雄姿 空青し
そよ吹く東風に 誘われる
お石が茶屋の 軒に舞う
人を愛して 愛されし
面影映す 梅の花
恋しや お石 春がゆく
太宰府の お石の茶やに もちくえば
旅の愁ひも いつかわすれむ
都府楼祉
作詞:村上寿浩 作曲と唄:岩﨑記代子
都府楼に たたずめば
礎は 土に埋もれて
旅人は めぐるまぼろし
朱の柱 朱の回廊
はるかなる 遠の朝廷(みかど)を
都府楼に まどろみて
遠き代の 夢にさすらう
旅人の 胸をながれる
万葉の 歌のしらべに
しのばれる 筑紫歌壇を
都府楼は うららかに
大野山 雲に影ゆき
旅人に 草はうるわし
丘の辺に 花は香りて
宝満は 遠くかげろう
藍染川物語
作詞:岡崎ふくみ 作曲と唄:岩﨑記代子
凍りつくよな 比叡の颪
梅のつぼみも 耐える京の街
愛しい貴君は 遠の朝廷へ帰る方
忘れ形見の 梅千代を
腕に抱きしめ 見上げる東雲は
恋路に染まる 色重ね
筑紫まほろば 太宰府想う
西の彼方の 梅の縁里
恋しい貴君を 追って慕って飛べるなら
梅の小枝に 身を託す
逢いたい道のり 百と五十余里
藍染川で 袖ぬらす
心情届かぬ 澪標
幼子残して 罪の禊川
梅壺の女御 愛の証と身を投げる
泣いて母呼ぶ 梅千代の
祈りが叶った 藍染川原には
天神様の 慈悲の愛
天神様の12ヵ月
作詞:村上寿浩 作曲と唄:岩﨑記代子
天神様の お正月
ウソ替え鬼すべ 初詣
太鼓橋には 人の波
天神様に 東風吹かば
飛梅の歌 なつかしく
白紅梅と 咲き満ちる
天神様の 梅の下
曲水の宴 歌を詠む
平安朝の 雅やか
天神様に お兄ちゃん
試験合格 神頼み
学生服の しおらしさ
天神様の 心字池
朱(あけ)の桜門 楠若葉
映す青空 眼にしみる
天神様の 花菖蒲
菖蒲の池に 咲き競う
紫の花 白い花
天神様の 夏祭り
夏の健康 祈願して
夜は幻想 千灯明
天神様の 御土産は
木彫りのウソに 茶店みな
梅ヶ枝餅と 呼んでいる
天神様の 御神幸
王朝絵巻 筑紫路に
秋を彩る 花車
天神様の 秋思祭
詩歌の調べ 篝火に
菅公偲ぶ 虫の声
天神様の 七五三
菊花香りて 幼子の
晴れ着姿の あいらしさ
天神様の おしまいは
今年たまった すすはらい
新年迎える 忙しさ
雪の観世音寺
作詞:舟木颯秋 作曲と唄:岩﨑記代子
いにしえ人の 夢偲ぶ
遠の朝廷を 垣間見る
天智天皇 発願の
観世音寺の 境内に
いつとは止まぬ 雪の花
釈迦さま縁 菩提樹も
春を待ちての 雪のなか
歴史みつめた 鐘楼に
白い静寂 しんしんと
おもむきみせる 細雪
下野薬師 東大寺
この地太宰府 またひとつ
三戒壇の 在りしとこ
人のこころを 戒めて
清らになれと 諭す雪
道真公
作詞:岡崎ふくみ 作曲と唄:岩﨑記代子
仰ぎみる 天拝山の峰に登り
真実よ 天に届けと
祈りし 道真公は
啼く雷に 身を委ねる
淡雪が 舞うのを見て
謫居の 庭にも
梅の香りと 懐かしむ
観世音寺の 鐘の音を聴き
京の都の 栄華を偲ぶ
恩賜の御衣は 今ここに
都府楼と 名づけし道真公は
神となり 甦る
宰府の里の 弥栄を微笑む
風は友達 ―太宰府バージョン―
作詞:平山芳江 作曲と唄:岩﨑記代子
遙かに連なる 水城の跡に
歴史は語る 遠の朝廷と
道真公の 悲運に泣けば
鐘の余韻に 心静けさ
風は友達 私の友達
悲願百年 胸張る誇り
九州国立 博物館に
途絶えぬ人波 合格絵馬と
拍手打つ手に 飛梅香る
風は友達 僕の友達
宰府の宮の 鳥居をくぐりて
仲店通りの 賑い焼餅
人垣えらんで お土産両の手
家路を目指して 電車の窓辺
風は友達 みんな友達